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SDGs未来都市・環境モデル都市の北海道ニセコ町でサステナブルな観光プログラムを開催した件

こんにちは。ニセコ町役場でnoteを担当しています、赤星です。
このnoteでは「地域活性化起業人」という総務省の制度を活用して、民間企業からニセコ町役場職員に出向中の赤星が、いわゆる“ヨソモノ”目線でニセコ町の話題の情報や、ここでしか話せないような裏話など…自由に発信していくことをコンセプトにしています。

今回は前回記事で紹介した、ニセコのサステナブルプロジェクト「NIS-ECO(ニスエコ)」のなかで企画したニセコ・サステナブル観光プログラムについて詳しくご紹介したいと思います!

【CHECK】NIS-ECOプロジェクトとは?
ニセコ町の有志が集まり、「本質的且つ持続可能なものとして、地域全体でニセコの観光・資源を守り、次世代へ繋いでいく」というビジョンを掲げ、町全体でサステナブルアクションを起こしています。
NIS-ECOプロジェクトの詳しい内容は過去記事をご覧ください。


⛄ニセコ町のサステナブルな観光プログラム「ニセコサステナブル体験」を開催


ニセコ町のサステナブルプロジェクト「NIS-ECOプロジェクト」では2022年11月12日~13日の1泊2日のスケジュールで、ニセコ町のサステナブルな観光プログラム「ニセコサステナブル体験」を開催しました。

■サステナブルな観光プログラムを開催しようと思った背景

年間175万人(2019年度実績)の観光客が訪れるニセコ町は国から環境モデル都市」「SDGs未来都市に選ばれており、近年は、持続可能な観光の分野でも、Green Destinations「世界の持続可能な観光地100選(2020・2021年度)」での表彰や観光分野における地球温暖化対策「グラスゴー宣言」への署名、国連世界観光機関(UNWTO)の2021年「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」での選出など、サステナブル観光への取り組みに力を注いでいます。

Green Destination2021では世界の持続可能な観光地のTOP100選にニセコ町が2年連続で受賞

過去記事でも紹介しましたが、国内観光客の7割、ニセコ町内観光事業者の8割が、観光において“持続可能な観光が重要”と考えています。(過去記事はコチラから)

そこで、NIS-ECOプロジェクトは観光庁の「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」の補助を受けてニセコのサステナブルな観光商品の創出を目的に活動を開始しました。

観光客にも町内事業者にも、サステナブルタウン・ニセコを実感してもらえる観光プログラムを作りたいと考え、プロジェクトチームのメンバーで「どんな体験がニセコのサステナブルを感じられるのだろうか?」と意見を出し合いながら、サステナブルな食事や自然、アクテビティ体験などを組み合わせて、サステナブルな観光プログラムを作りました。

ニセコサステナブル体験プログラムの日程表

ニセコサステナブル体験プログラムには、道内外から総勢23名の方にご参加いただき、1泊2日で開催しました。町からは片山町長、山本副町長、広報広聴係の大野係長にも参加いただき、運営ではNIS-ECOプロジェクトメンバー以外に地域おこし協力隊も参加して開催をしました。
今回の記事では、プログラムの詳細な内容とともに、ニセコ町のサステナブルな取り組み紹介交えてご紹介したいと思います!

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●1日目:じゅうごばあ手作りランチ

観光プログラムのはじまりは、“ニセコのお母さんの味”からスタート。
地元の食材を使っておいしい母の味を再現する女性たち「じゅうごばあ」協力のもと、ニセコ産野菜を使ったランチプレートに、芋団子汁、芋団子とカボチャのプレート焼き、お手製のおにぎり等…“シェフの味”ではなく“主婦の味”で、心温まるランチをいただきました。

“シェフの味”ではない“主婦の味”はどこか懐かしい、心温まるご飯
じゅうごばあの松田裕子さんから、じゅうごばあのコンセプトを紹介いただきました。
プログラムではマイ箸を持参。参加者全員でサステナブルな食事を満喫しました。

●1日目:森づくりのお話しとトドマツを使ったルームスプレー作り体験

「ニセコの森を守り未来につなぎたい」という想いでトドマツ精油を製造している元地域おこし協力隊で、現在はニセコ町で活動をするHikobayu(ヒコバユ)澤田夫婦を講師に招き、ニセコでの森づくりの話しと、トドマツ精油を使ったルームスプレー作りを体験。子供も大人も一緒に、森林の仕組みを学ぶ「木育(もくいく)」に取り組みました。


ニセコで自伐型林業に取り組む澤田健人さんは、森林のしくみ等を教えたりする「木育(もくいく)」活動に取り組んでいます。
トドマツ製油を使ったルームスプレー作り体験


●1日目:ニセコの森を歩こう

ニセコ町絹丘の森を歩き、人と山との繋がりを作る時間を。当日は、マウンテンバイクの試乗体験や、町内で採れたサツマイモを焚き火で焼いていただきました。海外からニセコ町に移住した地域おこし協力隊の高木さんは、アフリカのセネガルから持ってきたコラという楽器で演奏をしてくれました。

ニセコ産のサツマイモで作った焼き芋をみんなで美味しくいただきました
森のなかを歩く時間、いい時間♪
コラを使った生演奏は、地域おこし協力隊の高木さんが演奏

●1日目:ニセコ産野菜カレーとサステナブルチャレンジの紹介

ルーキーズキッチンでは、ニセコ産の野菜を使ったカレーと一緒に、前回記事でも紹介した「不揃いのカップ」を使って食事をいただきました。食事中は、町内でサステナブルなチャレンジをしている方のお話を伺う時間を設け、地域おこし協力隊の鎌田諭さんからは、エゾシカを活用した革手袋の商品作りのお話を。同じく地域おこし協力隊でNIS-ECOプロジェクトメンバーでもある鈴木恵里さんからは「不揃いのカップ」と「未来寄付」について紹介いただきました。食事の後は、テラスへ出て町内の木材を活用してキャンプファイアーとスモア体験を開催。スモアの竹串はNIS-ECOプロジェクトの鈴木健さんが町内の笹竹を使って手作りしたものです。

ニセコ産の野菜を使ったカレーライスは、不揃いのカップと一緒に。
地域おこし協力隊の鎌田さんはエゾシカの皮を活用したグローブ製作で起業
ニセコの除伐材を使って焚いた火でスモア体験。竹串もニセコ産の竹で手作りされたもの

●2日目:未来に繋ぐ、植樹活動

ニセコの大切な観光資源である雪や自然を守るために、観光で排出されたCO2を吸収して温暖化緩和に繋げるために植樹活動を行いました。今回は町内で樹種の苗木を生産販売している川原種苗さんに協力いただき、参加者全員でトドマツの苗木を町有地である曽我森林公園(東啓園)へ植樹しました。当日は雨天にも関わらず、全員でスコップを持ち、植樹用の植え穴を掘り、合計30本の苗木を植えました。

種苗の仕方を教えてくれる川原種苗の川原代表
植樹サポートを担当したNIS-ECOプロジェクトメンバーの鈴木健さん
NIS-ECOプロジェクト代表の高井裕子さんと幸四郎くんも親子で一緒に植樹
片山町長と一緒に植樹する高井幸四郎くん


●2日目:ニセコ発酵ツーリズムの話

植樹の後は「ニセコ発酵ツーリズム」のお話しを。ニセコ発酵ツーリズム推進協議会から副代表の高井啓さんに登壇いただき、発酵ツーリズム発足の背景から取り組みについて詳しくお話しいただきました。ニセコ発酵ツーリズム推進協議会は昨年8月5日(発酵の日)に発足した地域連携団体で、ニセコ連峰の東西半径約25km には発酵に関わる酒蔵、ワイナリー、蒸溜所、チーズ工房などが集積しており、全国的に見ても有数の発酵エリアです。こうした発酵に関わる地域事業者間の繋がりを強化し、「発酵ツーリズム」を切り口とした地域の独自性や魅力を発信することを目的に活動しています。今年10月1日(日本酒の日)に開催された「発酵祭」では、発酵ワークショップや発酵事業者が集まっての販売会を開催。今後は大学との連携や、発酵ツアーの企画・開催へも力を入れる予定で、ニセコを「日本の発酵の聖地」にすることを目標に活動しています。

ニセコ発酵ツーリズムについて語る高井啓さん
発酵について真剣に聞き入る参加者の皆さん
【出典】ラジオニセコBlogより、ニセコ発酵ツーリズム主催「発酵祭」の写真。
ラジオニセコBlogはコチラから。


●2日目:地元産野菜を使ったPRATIVOでのビュッフェ

新鮮な地元野菜を提供するレストラン「PRATIVOでは、ビュッフェ形式でランチをいただきました。サラダやマリネ等、野菜そのものの素材を活かしたメニューのほかに、パスタやグラタン、ドリアにローストビーフ等の主菜と、カステラやプリン等の高橋牧場の新鮮な牛乳を使ったスイーツがラインアップ。ビュッフェのドリンクでは、「ご当地ヨーグルトグランプリ」で金賞に輝いた「高橋牧場ニセコのむヨーグルト」も飲み放題と、ニセコの食を贅沢に満喫できます。それだけでなく、PRATIVOでは野菜等の生ごみは牧場の堆肥に混ぜ込み、有機肥料として再利用する等、サステナブルアクションにも取り組んでいます。

身体も嬉しい、野菜をふんだんに使ったビュッフェ


●2日目:ニセコまちの持続可能なまちづくりの話

プログラムの最後は、ニセコの持続可能な住宅作りのお話しを。ニセコ町と町内の民間事業者、専門知識を有する事業者らが一緒に出資をして立ち上げた官民連携でまちづくりを行う会社「株式会社ニセコまち」から佐々木綾香さんに登壇いただき、ニセコ町が取り組む持続可能な町づくりについてお話しを伺いました。
ニセコ町では2020年(令和2年)7月に、気候変動が危機的な状況にあることを踏まえて、2050年に二酸化炭素排出実質ゼロ(ゼロカーボン)を目指すことを表明しました。そのアクションの1つとして、「NISEKO生活モデル地区(ニセコミライ)」構想事業を掲げ、高気密・高断熱な集合住宅13棟に450人規模の人々が暮らす想定で、2026年までの竣工を目指しています。建物の高断熱化はもちろん、太陽光発電や蓄電池等も導入しながらCO2削減を図り、さらには公共交通を充実させ、自動車に頼らなくても快適に暮らせる環境をつくることで、高齢者が安心して住み替えられるような場所を目指しています。
ツアーのなかでは、実際にニセコまちが建てた高気密・高断熱のモデル住宅を視察。ほとんど暖房設備を使わなくても年中温かい住宅に、参加者の皆さんも興味津々な様子でした。

高気密・高断熱住宅について説明する株式会社ニセコまちの佐々木綾香さん
ニセコミライのイメージ図
【参考】環境省「ゼロカーボンシティ一覧図」はコチラから(2022年12月28日現在)

【CHECK】ニセコ町の2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明(ニセコ町気候非常事態宣言)およびニセコ町気候非常事態宣言コチラから


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■ニセコサステナブル体験を通して感じたニセコ町の可能性

1泊2日のニセコサステナブル体験のなかでは、「食」「自然」「観光」「住宅」等…町全体を持続可能なものとして未来に繋げられるようチャレンジするニセコ町の取り組みに触れていただくプログラムとなりました。
参加者の方からも、ニセコの事業者と自治体がこれだけ一丸となって取り組むサステナブルアクションが、決して無理をしている訳ではなく、事業者や自治体など地域経済の利益に還元する形で取り組んでいることが素晴らしいとの感想もいただきました。

ニセコ町は5,000人の小さな町ですが、だからこそ地域が同じ方向に向かって連携できるポテンシャルを持っています。ニセコ町へ観光にお越しの際には、ニセコ町のサステナブルな取り組みにも目を向けていただけたら嬉しいです。


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